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正しいオタクのすすめ

システム開発の仕事をしている夫が先日、20代の若手社員について「最近さ、オタク少年がいないんだよな~。子供の時に何かをとことん追求したこととか、自分の手で何かを作ったこととかないんじゃないかな」と言っていました。

正しいオタクのすすめ_e0066677_232592.jpgモノを作る仕事なのに、“分からなかったら調べてみる”、“探しているものが見つからないなら作る”のではなく、“分からなかったら人に聞く(またはやめる)”、“探しているものが見つからなかったら諦める”という姿勢に、そしてあらゆることへのこだわりの薄さに不安を覚えるんだそうです。

発想、想像力、調査能力、粘り、こだわり。子供の頃に何かがたまらなく好きで、それに夢中になった人なら絶対に身についてるはずのスキル。最近はそういう性質がとても希薄な若者(ババ臭い?)が多いようです。

オタクとは何か一つのことに深い興味を抱き、とことん追求し、誰にも負けない知識を蓄えている人だ思います(そういう意味では職人さんもオタクと言えると思います)。たとえば、鉄道オタクを自負するならただ好きなだけじゃなく、どういう歴史があるのか、どういう仕組みなのか、どうして走るのか、どんな種類があるのか、どういう開発が現在進めらられているのかなど、ただ電車に乗るだけなら必要ない無駄な知識、トリビアの泉も追求することが大事だと思うのです。

たとえオタクの域にまで達しなくても、何かに夢中になった経験があれば、その過程で学んだ探求心は色々な場で応用できるはず。

私の父の時代はたとえば、
同級生がラジオを持っていて羨ましかった →でも貧乏だから買ってもらえなかった →だからどうにか部品をかき集めた →ない部品は工夫して代用した →自分でラジオを作った
というような話を聞きます。今の世の中何でもあるので、「ないから作る」という行為の必要性はなくなっています。なければ別のものを選べばいいから。でもそうなってしまったら「必要は発明の母」という言葉は死語になり、ものづくり文化は廃れ、人は与えられたものだけで満足し、考えることをやめて退化していく一方です。

子供の頃に自分の手で“無”からモノを作る体験を積むことは大切なことだと思います。色々な道具に触れ、失敗や挫折を繰り返し、時には痛い目に遭い(大怪我は困りますが)、そして目的を達成する。子供にはこんな体験ができる場を提供してやりたいと思っています。そして好きなことが見つかったらそれをとことん追求できるようできる限り応援したいとも。

ただし次のようなオタクはちょっと。。。

1.一人の世界で完結してしまうオタク
ゲームなど、人が作ったものをひたすらやるだけの趣味はどうかと。あるいは閉鎖された空間で、特定の仲間としか交流しないのも。夫は鉄ちゃんで、中学生の頃から一人で鉄道の旅をするようになったそうです。日本の各地で色々な景色を見て、色々な人と出会い、そんな話しを時々楽しそうにしてくれます。鉄道模型も好きで、よくお兄さんと一緒に厚紙で作ったりもしたそうです。

2.興味の対象が特定の人間というオタク
追っかけとか。それって一歩間違うとストーカーよね?

3.周りが見えなくなるオタク
興味の対象があまりにも狭く、他のことはどうでもよくなってしまうオタク。オタクというとある独特の外見を想像してしまうけど、あれは自分の服装や髪型がどうなのか、それが人からどう見られているのかがまったく気にならないからだと思います。社会の中で色々な考えの人と交流できるバランス感覚を備えて欲しいです。

先週末SLに乗ったこと、実は私にとって素晴らしい体験でした。SLを発明した人、その構造を知り尽くしている機関士さん(まさに職人さん、かっこよかった!)、もはや必要はないのにいまだにSLを走らせ子供たちに夢を与えてくれる鉄道会社の人々。一人一人がオタクなんだと思います。単純かもしれないけど、とても温かい気持ちになりました。

そして夫は目を輝かせ、SLの組みについて色々と説明してくれました。普段は見ない夫の別の一面を見たようで嬉しかった(のろけじゃありませんよ♪)

正しいオタクのすすめ_e0066677_230419.jpgと、偉そうに書きましたが、私はオタクではありません。“このことなら私になんでも聞いて!”と言えるような趣味は残念ながらなくて。。。手に職をつけておけばよかったと後悔してます。まだ遅くない?

子供たちが立派なオタク(外見気持ち悪いのはやめてね)になることとを願ってやまない母です。

by misha_kun | 2005-10-20 23:08 | thoughts